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レギュラーや女子ではなく「シニア」の開催に意義がある

鳴尾はバーディが続いてスコアが一気に伸びるようなコースではありません。ですからシニアオープンの初日にやや出遅れても我慢比べだと思っていましたし、いったん差がつけばそう簡単には追いつけないので、結果的にはうまく逃げ切って優勝することができました。
初日に苦労したのにはいくつかの理由がありますが、やはり速いグリーンに手こずりました。私は高校生のとき初めて回って以来、鳴尾で4、5回プレイした経験から“やさしいコース”という印象を持っていました。距離はあまりないし、グリーンにさえ止まればスコアは出ますから。

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しかし今回のシニアオープンのセッティングはやさしいイメージとはほど遠く、突然“牙を剥いた”という印象です。雨のせいもあって自分がイメージしていたほどではありませんでしたが、それでもあれだけ速いと外したときのアプローチがなかなか寄らないので、ショットを調整するのに少し時間がかかりました。
この速いグリーンをはじめ、鳴尾のコースに手こずったプロが多かったように思いますが、今回レギュラーツアーでも女子でもなくシニアのトーナメントが開催されたことは、鳴尾にとって良かったと思います。このコースは女子では歯が立ちません。かといって力まかせに飛ばす傾向が強いレギュラーでは、鳴尾の良さが出なかったでしょう。シニアオープンを通じて、鳴尾という“知られざる名コース”の名が広く知られるきっかけになったのではないかと思います。

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日本のゴルフ界に“異質な魅力”を放つ鳴尾

なぜ鳴尾が“知られざる名コース”なのか。それはクラブが良い意味での閉鎖性をもって伝統を守り続けているからでしょう。例えば廣野はメディアに頻繁に採り上げられますが、鳴尾はその素晴らしさが全然知られていない。プロだって知らない人が大勢います。あの中島常幸プロが 「鳴尾は今回のシニアオープンがはじめてだ」って言うのですから驚きました(笑)。

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琵琶湖にも茨木にも良さはありますが、鳴尾はまったく異質。アメリカでいうとパインバレーみたいな存在です。あそこを回った人の評価は両極端に分かれます。「素晴らしい、よくこんなコースをつくった」という賛辞もあれば「これはゴルフ場じゃない」という否定的な意見もある。おそらく鳴尾も両方の評価を受けているんじゃないでしょうか。
実際にゲストを連れて行くと「素晴らしい」という人と「二度と来たくない」という人に分かれる。そうした良い意味での異質な魅力をもった鳴尾の存在は、日本のゴルフ界にとって貴重だと思います。

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「ベント神話」の呪縛から逃れる契機に

では、私が考える鳴尾の魅力とは何か。ひとつにはやはり高麗のグリーン。そしてもうひとつは、コース設計における見事なイマジネーションです。
シニアオープンのときのグリーンは、それまでの鳴尾で経験したことがないほど素晴らしく、まさに日本一の高麗芝だと思いました。
私はかねてから日本のゴルフ関係者に向けて「ベント神話はやめましょう」と言い続けています。「アメリカは全部ベントだ」と言う人がいますけど、事実誤認です。アメリカのベントなんて、皆さんが思っておられるよりずっと少ないのです。

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「ベントは速い、高麗は遅い」とも言われますが、これも誤り。冬は高麗の方が絶対に速い。夏は伸ばし放題にしていると確かに遅くなりますが、ちゃんと管理をすればベントに劣らないはずです。鳴尾のメンバーの方はよくご存じだと思いますが、ゴルフ関係者の中に分かっている方が少ないのが、すごく悲しいですね。
今回のシニアオープンが、高麗芝を見直す契機になればと願いますが、では、どんどんベントに取って代わるかというと、それは難しい。大きなグリーンで高麗芝を管理するのは、やはり大変です。鳴尾のグリーンの大きさゆえの高麗の素晴らしさであって、やはりそれは独自のものだと思います。

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比類のない鳴尾の“イマジネーション”

コース設計のイマジネーションも見事です。開設当時の鳴尾浜からこの猪名川に移り、この地形にこのコースをつくったことに敬意を表します。
例えば7番。あんなに奥の狭いところにわざわざグリーンをつくらなくても、左を削ればもっと広くて日当たりの良いグリーンができたはずです。だけど設計者はあえてその選択をしなかった。プロなら2つで乗る距離ですが、私は4日間一度も狙っていません。ティーショットはすべてクリークで打ってセカンドもアイアンです。打つ気をそそらせながらも、考えずに打つと絶対にケガをするようなホールが7番をはじめいくつかあります。

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14番も2打で届きますが、グリーンの真ん中より左に打つとOBになる可能性が高い。シニアオープンでも、それが分からずポンポン左に打っている人が多かったようですが……4番のパー3にしてもしかり。ティーからピンが見えないことを悪いことのように言う人々がいると思いますが、あの打ち上げで横長のグリーンがどれだけプレーヤーのイマジネーションを刺激することか。15番も含めて、鳴尾のパー3は全て見事という他ないですね。

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どこもがオーガスタを目指すことの無意味さ

一時期、多くのゴルフコースがオーガスタを目標にしました。きちんとしたコンセプトがあって目指すのであれば、大いに結構です。しかし実際には「うちのコースでトーナメントをやりたい」とか「メディアから高く評価されたい」といった理由で、みんながそろってオーガスタに近づこうとしたわけです。オーガスタがバミューダからベントに替えたと知ると「じゃあ我々も高麗からベントにしよう」という発想はあまりに浅薄ですが、ゴルフマスコミがそれに警鐘を鳴らすことなく、むしろあおったことは否めません。

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雑誌で「日本のコーストップ100」などの記事を見ると、ランクに入っているのはトーナメントをやっているコースばかり。でもトーナメントをやっているからといって、必ずしも良いコースだとは言えません。テレビ映りがいいとかギャラリーが見やすいといった要素も開催場所として重要だからです。つまり「プロのエンターテインメントとしてのゴルフ競技」にふさわしいからトーナメントが行われているわけであって、それは本質的なコースの善し悪しとは別の基準なのです。
ある著名なコースの関係者が「改造して7500ヤードにしたい」と仰る。それは日本一と呼ばれるツアーの開催を目指してのことです。しかし、そのコースのメンバーの年齢を考えたとき7500ヤードも必要なのかどうか、私には大きな疑問を感じます。

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アマチュアの上達を促すコースとは

ゴルフは基本的に頭を使って考えるスポーツです。だからアマチュアにとって良いコースとは、考えることで上達を促してくれるコースのことです。
ティーからフェアウェイが見えないといけない、フェアウェイからグリーンが見えないという考えがゴルフを悪しき方向に導きました。先ほど例に挙げた鳴尾の4番のように、見えないからこそ考える。それが上達につながるんです。特にメンバーコースは見えなくてもまったくかまわない。ビジターにはメンバーが教えてあげればいい。それだけのことです。

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数十年前のオリジナルを今に残しているコースには、やはりゴルフ本来の考えさせられる魅力があります。ところが非常に残念なことに、日本の名コースと言われているところでも、オリジナルをつぶしているところがかなりあります。それには、未来に向けての進歩だという意見もあれば、一方では、現代の人間のエゴだという見方もある。私は、2グリーンを1グリーンにしたり、小さなグリーンを大きくして芝質を変えてしまったりするのは、明らかにエゴだと思います。

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オリジナルの魅力を守り続けることの意義

「道具が進化しているのだから、コースも進化しなければならない」という意見がありますが、私は異を唱えます。道具の進歩によって直接恩恵を受けているのは高齢者の方々です。おかげで高齢になっても、従来と遜色なくプレイできるようになった。それは事実であるけれど、道具が進歩したからといってコースを改造しなければいけないということにはならないと思います。若い人向けのコースは近年できたところがいっぱいあるのだから、古くからあるコースを敢えて変える必要はないはずです。

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私は先ごろ広島カントリー倶楽部の改造を頼まれ、そのときに申し上げたのは「まず原点に戻りましょう」ということ。例えば、過植栽でホールが狭くなっているところを整備するとかなり広くなる。メンバーの方には「みなさんのお父さん、お爺さんはこのホールでプレイしたのですよ」と言って納得していただきました。
私はこれからのコース経営は二つに分かれると思います。ひとつは大衆的なセッティングや運営で多くの人を集客する方向、もう一方は閉鎖的な運営で魅力を守り続ける方向です。どこも運営には苦労されていると思いますが、オリジナルが残っている数少ないところは、ぜひとも残して欲しい。もちろん鳴尾はその筆頭です。
文化遺産というほどの歳月は経っていないけれど、その存在は充分に「文化財」の類でしょう。これからも、あの素晴らしいイマジネーションを受け継いでいただきたいと強く願っています。

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